仮に英語のゴールを「英会話」とした場合でもリーディングの練習は必要不可欠です。
ただ、求められる勉強法は中学や高校の授業でやっていたリーディングとは異なります。
学校の授業では一言一句を正確に日本語で理解する「精読」が求められましたが、実戦的なリーディングでは「英語を英語のまま理解していく」ことが求められます。
では、どうすれば英語を英語のまま読む力を鍛えられるのでしょう?
この記事ではリーディングが必要な理由から、勉強の基本的なポイントまでまとめています。
社会人になってから英語の勉強を本格的に始める方はこちらのページも是非一読してみてください。

Contents
英会話とリーディングの密接な関係
たまにリーディングと英会話を切り離して考える学習者がいます。しかし、英会話をゴールとした時でも「リーディング」は必要不可欠ですし、とても重要な勉強法です。
ここで述べている「リーディング」とは中学高校の授業でやったような、一文章ごとに訳していくものではないです。「英語」をできるだけ「英語のまま」で理解していくリーディングです。
この「英語を英語で読む力」というのは英会話と密接な関係があります。
実際の英会話の現場では「英語を英語のまま」で理解しなければなりません。理由はシンプルで、都度すべての文章を日本語に変換すると会話に遅れるからです。
また、逆も然り。自分が発言するときに一度日本語に浮かべてから英語に訳す、という段取りを取ると間に合いません。
つまり、「英語を英語で理解できる速度」がリスニング速度の限界であり会話速度の限界です。逆に英語を英語で理解できるようになれば実際の英会話でも対応できる可能性が高まります。
英語を英語で読むためのリーディング学習のポイント
英語を英語で読むための学習で有効なのは「良質な英語をたくさん読むこと」、つまり「多読」です。
幸いにも現代はインターネットを使えば世界中の生きた英文を手に入れることができます。
ただ、いくら教材が素晴らしくても中学高校のようなリーディングを続けていては効果が半減するでしょう。
英語を英語で読むためのリーディング学習で注意したいポイントをいくつか書き出してみます。
基礎文法と基礎単語は最低限必要
世の中には「理解できなくとも、とにかく英文を読み続ければいつか読めるようになる」という人もいます。
これ、半分は正しくて半分は間違いです。
確かに実戦を見据えたリーディングでは「わからない部分をある程度推測しながら読む」ことが必要です。
ただ、「ほとんどわからない」のであれば推測することすらできません。リーディングに取り組む前には最低限でも中学レベルの単語と文法はマスターしておく必要があります。
特に文法は重要です。文法学習については過去に触れているので下記記事がご参考となれば幸いです。

レベルに合った、興味がある英文を読む
文法がわかっていたとしても、あまりに出てくる単語が理解できない場合は文章のレベルを見直した方が良いです。
目安として、出てくる単語の7割は知っている(少なくとも過去に触れたことのある単語である)という状態でなければ厳しいでしょう。
7割以下の場合は文意が全く理解できない可能性があります。
また、自分の興味がある英文を選ぶのも大切です。
英語というのはしょせんツールですので、その先に「話したい」、「知りたい」という気持ちが無いと続きません。「必要は発明の母」と言いますが「必要は学習の母」でもあります。
下記記事ではリーディングに使えるツールをレベル別にまとめています。カテゴリーに富んだツールもあるのでぜひ参考にしてみてください。

短い文章から長くしていく
英文を読み慣れていない場合、英語に長時間触れているだけでもストレスになります。
もちろん避けては通れないストレスですが、いきなり過度なストレスをかける必要はありません。
勉強量も大事ですが、どちらかと言えば毎日コツコツ続ける、という勉強頻度の方が重要です。
英文が長くて疲れてしまう場合は、無理せずに短い英文に切り替えましょう。
読む途中で単語を確認しない(都度和訳をしない)
中学高校の「英文読解」の場合は辞書片手に取り組み、わからない単語があれば調べることが良しとされました。
今回テーマとしている実戦に向けたリーディングでは、わからない単語が出てきても都度都度単語を確認しない方が良いです。
できるだけ推測しながらまずは英文を読み切ること。その後にわからない単語や表現があれば調べてインプットする、という流れが良いです。
わからない単語も一度で無理して覚える必要はありません。多読を続ければ、実戦で必要な単語は繰り返し出てきて「またお前か!」となります。そしてそのうち自然に覚えていきます。
また、短いセンテンスごとに日本語に訳すのもやめた方が良いです。
途中で「答え(対訳)」を見てしまうと「わかったつもり」になってしまうからです。
英語の流れを止めずに、まずは一度読み切る、ということを徹底してください。
速度を意識すること
最後のポイントは速度です。
英語を英語で読むことを目的とした、実戦型のリーディングでは「正確性」よりも「速度」の方が重要です。
もちろん「正確に早く読む」ことができるのが理想ですが、どちらか選べと言われれば「速度」なのです。
最初から無理な速度で読む必要はありませんが、慣れてきたら読解速度を計ってみるのも良いでしょう。
読解速度の目安としてはWPMというものがあります。WPMはWord Per Minuteのことで、1分間に読める単語の量を示す指標です(下記表は速度目安)。
速い(ネイティブ並み) | 300+ WPM |
普通 | 250 WPM |
遅い | 150 WPM |
だいたいTOEICなんかだと180以上は無いとキツイ、とか言われます。
計測はシンプルで、英文の単語数を読了にかかった時間(分数)で割るだけです。
ただ、読んだはいいけど全然内容がわからないというのではダメです。読めたことになりません。
内容理解度については「読んだ記事や文章の概要を人に伝えられる」というのが一つの目安です。
精読訓練ではないので一言一句正確に伝える必要はありませんが、主要なテーマとポイント、は理解していなければなりません。
リーディングにかけた時間は自分を裏切らない
つらつらと「英語を英語で読む」ことを目的としたリーディングのコツを書いてみました。
ぜひ一日少しでも良いので生活の一部の時間に取り入れ、続けてみてください。
リーディングの場合は「単語」や「文法」のように学習の終わりが見えにくいものです。
時として「効果出てるのかな…」と悩んでしまうことがあるかもしれませんが、語学は人を裏切りません。
特にリーディングは腹筋のようなもので、長期間鍛えれば体を支える力となり一度ついた力はなかなか落ちません。
続けているうちにリスニングにも効果が出て、英語が英語のままで理解できる日が必ず来ます。
これがある日突然訪れるから面白いのです。
その日を目指して頑張りましょう。