日本人は英語が苦手な民族だと言われます。
実際、他国と比べると勉強量の割には話せる人が圧倒的に少ない。
これは『日本語と英語の違い』が大きな原因となっています。
『日本語特有の癖』が抜けないままで英語を話そうとする…だから『知識はあるのに会話になると話せない』という人が多いのです。
逆にいえば、そこを理解しておけば圧倒的に英語の学習効率を高めることができます。
この記事では『日本人が英語を話せない理由(陥りがちな失敗パターン)』をシンプルにわかりやすく説明します。
日本語と英語は正反対の言葉
日本語と英語は「真逆」と言っても差支えが無いほど異なる言語です。
文法的な観点だと、英語と日本語ではまず語順が完全に違います。英語が主語+動詞+目的語の順番なのに対して、日本語は主語+目的語+動詞の順番です。
また、日本語は主語が無くても文脈で意味が伝わりますが、英語は必ず主語がついてきます。例えば、日本語だと「雨が降っている」と言いたいだけでも、英語だと「It is raining」となります。
文字の話をすると、英語がアルファベット一つで展開されるのに対し、日本語は「ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット」の4つの文字で構成されます(最近ではアルファベットも多いので含みました)。
さらに英語は完全に音で意味を表現する「表音文字」ですが、日本語で使う漢字は文字自体に意味がある「表意文字」です。
ひらがなとカタカナは表音文字なので、日本語は表音文字と表意文字を組み合わせて使う「超難解」な言語だったりします。
ダメ押しですが英語圏の西洋人と日本人では文化もまったく異なります。文化が言語に与えるインパクトはとてつもなく大きく、日本語と英語の性格に違いを与えています。
まだまだありますが、このようにして挙げていけばキリがないほど英語と日本語は異なる言語です。
日本人が英語を話せない3つの理由
上述した言語としての違いを理解すると、日本人が英語をなかなか話せない理由が見えてきます。多くの方がこの3つのパターンにハマっているはずです。
以下、ご説明します。
①日本語の概念や表現をそのまま訳そうとする
当たり前の話ですが、私たちの頭には日本語が染み付いています。そして何かの概念を伝えたい時には日本語の枠組みが頭に自動的に浮かんできます。
シンガポールに住む知人が非常に旨い表現をしていたのですが、「英語を話す時は頭で話すが、日本語を話す時は脊髄で話す」ということです。
そしてこれが英語の上達を妨げることがあります。具体的には日本語の表現の複雑さをそのまま英語で表現しようとして詰まってしまう、ということです。
日本語は表意文字が入っていることもあり、非常に細かい感情的ニュアンスを短い言い回しで表現することができます。さらに日本人特有の直接的ではない「遠まわし」な表現が多いです。
一方で英語は日本語ほど細かい形容詞的表現を持っていません。さらに、英語圏特有の「ストレート」な表現が非常に多い。
英語で言うところの、日本語は「indirect」で、英語は「direct」な言語です。この言葉一つとっても日本語から英語に訳す時には一癖あります。
「日本語は遠まわしな言語です」の訳語で一般的なのは「Japanese is indirect language」で、indirectという表現を使うことが多いのですが、「遠まわし」という言葉尻だけ追っかけているとindirectという表現は出てきません。
言葉尻ではなく「概念として分解して捉えなおす」ことが必要なのです。
遠まわしというのはもっとわかりやすくすると「直接的ではない=間接的」となり、そうなるとdirect(直接的な)の対義語となるindirect(間接的な)が当てはまるというわけです。
また、indirectという訳語を知ったとしても「うーん、なんか違うんだよね」となってしまう人がいます。この手の人は本当に危険です。
日本語の絶妙なニュアンスにこだわるばかりに、いつまでたっても英語を使えるようにならない危険性があります。
日本語独特の細かい表現に引っ張られると、どうしても訳せない言葉だって出てきます。
例えばわかりやすい言葉だと「やっぱり」というものがあります。これを英会話の現場でそのまま頭に浮かべてしまうと訳語が出てきません。
「やっぱり」は非常に便利な表現ですが日本語独特の表現です。文脈によってかなり違う意味を持ちますよね。
例えば、「やっぱり彼は来なかった!」となると「As I though, he didn’t come / 私が思っていた通り、彼は来なかった!」の意味ですし、「やっぱり買っておくべきだった」となると「I should have bought it / 買っておくべきだった(この場合にやっぱりは訳せません)」となります。他にもたくさんの意味合いを持っています。
何が言いたいかと言うと、日本語の微細なニュアンスに引っ張られ、「100%合致する訳語」を探す癖がある人はいつまで経っても英語を話すことはできない、ということです。
私の友人で日本語が本当に上手な人がいるのですが、彼がこのタイプ。
いつも英語に触れると「なんか違う」と言っています。案の定いまだに彼は英語が話せるようにはなっていません(読む力は達者なのですが…)。
もちろん細かいニュアンスにこだわることは悪いことではありません。ただ、そのステップは一度「英語圏の小学生レベル」まで話せるようになってから取り組めばよい話です。
日本語ですら、日本文学を活用して日本語表現を掘り下げるのは中学生あたりからです。
②伝えようとする内容が長い
これは私が海外で日本語学習者から教えてもらい初めて気付いたことですが、日本語というのは一文が非常に長くなりがちです。
先ほど「日本語は短い言い回しに意味を含ませることができる」と書いたので矛盾してる!と思われる方がいるかもしれませんが、言い回しの話ではなく文章が長くなりがちだと、ということです。
これは別に悪いことではなく、一つの文章に色々な意味を込めても誤解なく伝えることができる、という意味なので言語として非常に優れている一面だと思っています。
ただ、英語で表現する時にはネックになることが多々あります。英語の表現はとにかくシンプルです。「誰が」に非常に重きを置いた言葉なのであまり文章が長くなると誤解を招きやすい、ということもあるのかと思います。
英語の性格云々を置いておいても、外国語で話す際に元々頭に浮かんできた概念が長くなってしまうと結構辛いものがあります。
できるだけ最初に言いたいことを「発想」する際にも、主語と動詞を明確にして短く文章を切るのも英会話においては重要です。
③完璧主義すぎる
これは殊更細かく述べる必要もないかと思います。
どこかの学術記事で読んだことがありますが、日本人は他の人種と比較して「不安に陥りやすい民族」だそうです。また、「失敗を恐れがちな民族」というのも多くの方が納得することではないでしょうか。
時としてこの完璧主義は素晴らしい結果を生み出します。しかし、英語学習においてはマイナスにしかなりません。
完璧になるのを待っていたらいつまで経っても話せないからです。
そもそも語学には完璧な答えというものはなく、一つの「言いたいこと」にも様々な表現パターンがあり、伝わってしまえばどれも正解です。
完璧な答えを掴むというよりは、間違えながらもっともらしい表現を身に着けていく、ような感覚に近い。
そのための最短の練習法は「とにかく口に出して使ってみる」ということです。
間違えた結果として新しい知識を得られたら「ラッキー」と思うくらいの図太さが欲しいところです。
まとめ
簡単にまとめようと思ったのですが長くなってしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここで挙げた3つはシンプルなことですが、とても大切なことです。少し意識しておくだけでも上達スピードは変わってくるはずです。
日本語も日本文化も素晴らしいのですが、こと英語学習においては忘れた方が良い面もあります。
陥りやすい失敗パターンを事前に理解しておき、効率的に学習を進めましょう。